要介護1で使える制度まとめ|年間183万円の損失を防ぐ方法【2026年版】

要介護1と認定された場合、介護保険の月額区分支給限度額は167,650円(2026年度)です。 この限度額内のサービスは、所得に応じて1〜3割の自己負担で利用できます。さらに「高額介護サービス費」を申請すれば、住民税非課税世帯では実質月15,000円まで自己負担を抑えられます。

申請しなければ1円も戻ってきません。制度をフル活用している方と、存在を知らずに全額負担している方では、年間最大183万円の差が生じています。

この記事では、要介護1で利用できる制度を金額付きで整理し、「あなたのご家庭では年間いくら得するか」を3パターンの計算根拠つきで解説します。

要介護1の区分支給限度額と自己負担の目安

要介護1の月額区分支給限度額は**167,650円(16,765単位)**です(2026年度・1単位=10円換算)。

項目 金額
区分支給限度額(月額) 167,650円(16,765単位)
自己負担額・1割の場合 約16,765円/月
自己負担額・2割の場合 約33,530円/月
自己負担額・3割の場合 約50,295円/月

ただし、これは「限度額いっぱいを全て使った場合」の計算です。高額介護サービス費が適用されることで、住民税非課税世帯の方の実質負担は月15,000円まで抑えられます。

参考: 要介護度別の区分支給限度額(厚生労働省「区分支給限度基準額」2024年4月改定時点)

要介護度 月額限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

要支援2から要介護1に上がると限度額が月62,340円増えます。また、利用できるサービスの種類も「予防給付」から「介護給付」に切り替わり、より幅広い介護サービスを使えるようになります。

出典:厚生労働省「介護保険の区分支給限度基準額について」(2026年6月確認)

要介護1で使える制度一覧(2026年度版)

要介護1で利用できる制度は「介護保険の居宅サービス」「費用軽減制度」「自治体独自支援」の3カテゴリです。要介護1の場合、在宅での生活を支えるサービスが利用の中心になります。

介護保険の居宅サービス

ケアマネジャーが作成するケアプランに沿って、167,650円の限度額内でサービスを組み合わせます。

サービス名 概要 自己負担目安(1割)
訪問介護 ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護・生活援助を実施 3,000〜15,000円/月
通所介護(デイサービス) 日帰りで食事・入浴・機能訓練を受ける 5,000〜15,000円/月
訪問看護 看護師が自宅で医療的ケアを実施 3,000〜10,000円/月
短期入所(ショートステイ) 施設に短期宿泊。介護者の休息にも活用 5,000〜20,000円/月
通所リハビリテーション(デイケア) 病院・老健でリハビリを受ける 5,000〜15,000円/月
福祉用具貸与 手すり・歩行補助具・特殊寝台等のレンタル 1,000〜3,000円/月
訪問入浴介護 浴槽を持参して自宅での入浴を介助 2,000〜5,000円/月
居宅療養管理指導 医師・薬剤師が自宅を訪問し療養指導 300〜800円/月

施設サービス — 要介護1でも入れる施設

要介護1では、特別養護老人ホーム(特養)は原則申し込みできません(要介護3以上が条件)。ただし、以下の施設サービスは利用できます。

例えば、次のようなモデルケースが考えられます。67歳の女性(要介護1・変形性膝関節症)は、週3回のデイサービスと月2回のショートステイを組み合わせて在宅生活を継続。夫が出張のある週だけショートステイを利用するという柔軟なプランを立て、167,650円の限度額の中で全てを賄っています。

施設名 概要 月額費用目安(1割負担)
介護老人保健施設(老健) リハビリ中心の短〜中期入所施設 7〜17万円
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等) 介護付き老人ホームで介護保険を適用 14〜30万円(全費用)
グループホーム(認知症対応型共同生活介護) 認知症の方が少人数で共同生活 12〜18万円(全費用)
介護医療院 医療ケアと生活介護を一体提供 8〜20万円

※食費・居住費は別途自己負担ですが、住民税非課税の方は「特定入所者介護サービス費」で軽減されます。

費用を抑える軽減制度(申請しないと損する制度)

制度名 対象者の目安 軽減効果
高額介護サービス費 月の自己負担が一定額を超えた方 超過分を翌月以降に還付
特定入所者介護サービス費 住民税非課税かつ預貯金等が基準額以下で施設に入所している方 食費・居住費に負担上限を設定(例: ユニット型個室・第1段階では月約7万円の軽減に相当)
高額医療合算介護サービス費 医療費と介護費の合計が高額な方 年間の合算負担に上限を設定
社会福祉法人等利用者負担軽減 低所得で特定要件を満たす方 自己負担を最大1/4軽減

高額介護サービス費の月額上限(2026年度)

所得区分 月額上限
生活保護受給者 15,000円(個人)
住民税非課税 かつ 年金収入80.9万円以下 15,000円(個人)/ 24,600円(世帯)
住民税非課税(上記以外) 24,600円(世帯)
住民税課税〜年収約383万円未満 44,400円(世帯)
年収約383万円〜約770万円未満 44,400円(世帯)
年収約770万円〜約1,160万円未満 93,000円(世帯)
年収約1,160万円以上 140,100円(世帯)

出典:厚生労働省「高額介護サービス費について」(2026年6月確認)

自治体独自の支援(見落としがちな給付)

多くの市区町村が、要介護1以上の方を対象に独自支援を実施しています。介護保険とは別の申請が必要なため、担当ケアマネや地域包括支援センターに確認しましょう。

  • 紙おむつ・介護用品の現物給付:月2,000〜4,000円相当(自治体によって異なる)
  • 緊急通報システムの貸与:独居高齢者向け(多くは無料または低額)
  • 家族介護教室:介護技術を無料で学べる機会
  • 移送・外出支援:通院時の交通費補助や福祉タクシー券

申請手順 — 制度別チェックリスト

介護保険サービスを使い始めるまでの流れ

  1. 要介護認定の申請(市区町村の介護保険課または地域包括支援センター)
  2. 認定調査の受診 + 主治医に意見書作成を依頼(費用は保険者負担)
  3. 認定結果通知(申請から約30日。審査中も暫定利用可能)
  4. ケアマネジャーを選ぶ(居宅介護支援事業所に連絡。利用者の自己負担ゼロ)
  5. ケアプラン作成(どのサービスを何回使うか計画)
  6. サービス利用開始

高額介護サービス費の申請方法

初回のみ手続きが必要で、以降は自動的に還付されます。

  1. 対象月の翌月頃に市区町村から申請書が送付される
  2. 必要事項を記入して返送(または窓口持参)
  3. 指定口座に差額が振り込まれる

申請書が届かない場合は自分から市区町村の介護保険窓口へ問い合わせを。請求権は2年間で時効です。気づいたときに早めに手続きすることが重要です。

特定入所者介護サービス費(補足給付)の申請

施設に入所する前に市区町村で申請します。

  1. 「介護保険負担限度額認定申請書」を市区町村窓口に提出
  2. 預貯金・資産の確認(通帳コピーなどが必要)
  3. 「介護保険負担限度額認定証」の交付(入所時に施設へ提出)
  4. 認定区分に応じて食費・居住費が自動軽減

シミュレーション — 3パターンで計算

適格条件エンジン(CARE_LEVEL_LIMITS・HIGH_COST_LIMITS・BURDEN_RATIOS)を使い、代表的な3パターンで計算しました。計算条件は「区分支給限度額の100%(167,650円/月)を利用した場合」です。

自分のケースで計算したい方: 介護費用シミュレーターで所得・世帯構成を入力すると、実質月額負担と年間節約額を自動計算できます(無料)。

ケース1: 独居・住民税非課税(年金収入80.9万円以下)

68歳、ひとり暮らし。老齢年金のみで生活しており、子どもは別世帯に住んでいます。

計算ステップ 金額
月額利用額(限度額フル活用) 167,650円
自己負担割合(BURDEN_RATIOS) 1割
計算上の月額自己負担 16,765円
HIGH_COST_LIMITS 第2段階上限(個人) 15,000円
16,765円 > 15,000円 → 差額 1,765円/月を還付 ▲1,765円/月
実質月額負担 15,000円
実質年間負担 180,000円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:2,011,800円(167,650円×12ヶ月)

→ 制度を活用することで年間約183万円の差額が生まれます

(計算式: 2,011,800円 − 180,000円 = 1,831,800円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

ケース2: 夫婦世帯・住民税課税(年収250万円程度)

72歳、配偶者と2人暮らし。年金収入が中心で、本人の合計所得金額は160万円未満。

計算ステップ 金額
月額利用額(限度額フル活用) 167,650円
自己負担割合(BURDEN_RATIOS) 1割
月額自己負担 16,765円
HIGH_COST_LIMITS 第4段階上限(世帯) 44,400円
16,765円 < 44,400円 → 還付なし
実質月額負担 16,765円
実質年間負担 201,180円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:2,011,800円

→ 制度を活用することで年間約181万円の差額が生まれます

(計算式: 2,011,800円 − 201,180円 = 1,810,620円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

ケース3: 子と同居・2割負担(合計所得160〜220万円)

70歳、子ども家族と同居。年金に加えて給与収入があり、合計所得金額は160万円以上220万円未満のため2割負担。

計算ステップ 金額
月額利用額(限度額フル活用) 167,650円
自己負担割合(BURDEN_RATIOS) 2割
月額自己負担 33,530円
HIGH_COST_LIMITS 第4段階上限(世帯) 44,400円
33,530円 < 44,400円 → 還付なし
実質月額負担 33,530円
実質年間負担 402,360円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:2,011,800円

→ 制度を活用することで年間約161万円の差額が生まれます

(計算式: 2,011,800円 − 402,360円 = 1,609,440円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

シミュレーション比較表

パターン 月額実質負担 年間実質負担 制度なし年間負担 年間差額
ケース1(独居・非課税・1割) 15,000円 180,000円 2,011,800円 約183万円
ケース2(夫婦・課税・1割) 16,765円 201,180円 2,011,800円 約181万円
ケース3(子同居・2割) 33,530円 402,360円 2,011,800円 約161万円

よくある質問(FAQ)

Q: 要介護1と要支援2では、使える制度にどのくらい差がある?

区分支給限度額が月額62,340円増えます(要支援2: 105,310円 → 要介護1: 167,650円)。それ以上に重要な変化は、利用できるサービスの種類です。要介護1から「介護給付」の対象となり、訪問介護での身体介護(入浴・排泄介助)を介護保険で利用できるようになります。要支援の「予防給付」では生活援助中心でしたが、要介護1からより手厚いケアが受けられます。

Q: 要介護1で特別養護老人ホームには入れない?

原則として、特別養護老人ホーム(特養)の入所は要介護3以上の方が対象です(介護保険法施行規則による)。ただし、「認知症・知的障害・精神障害等により日常生活に支障を来すような症状・行動がある場合」など特例がある場合は要介護1・2でも入所できる可能性があります。まずはケアマネジャーか地域包括支援センターに相談しましょう。特養以外では、有料老人ホーム(介護付き)・グループホーム・老健は要介護1から利用可能です。

Q: 要介護1の高額介護サービス費はいつ申請すればいい?

対象月の翌月以降に市区町村から申請書が届きます。初回のみ手続きが必要で、以降は自動的に還付されます。住民税非課税の独居の方(第2段階)なら、月の自己負担が15,000円を超えた月から対象になります。申請書が届かない場合は市区町村の介護保険窓口へ問い合わせを。請求権は2年間で時効になります。

Q: 要介護1から2に上がるのはどういう場合?

日常生活動作(ADL)の低下が進み、「状態の変化が確認できる」と主治医・ケアマネジャーが判断した場合に「区分変更申請」ができます(審査に約30日)。要介護1から2に上がると区分支給限度額が197,050円に増え、より多くのサービスを受けられます。反対に、定期的なリハビリで状態が改善して認定更新時に要支援に戻ることもあります。状態の変化を感じたら早めにケアマネジャーに相談しましょう。

Q: ケアマネジャーへの費用は別途かかる?

いいえ、かかりません。要介護1と認定された方のケアマネジャー(居宅介護支援事業所)への費用は、全額介護保険が負担します。利用者の自己負担はゼロです。ただし、サービス利用そのものの費用(訪問介護・デイサービス等)は1〜3割の自己負担があります。

まとめ — 要介護1で「損しない」ために今すぐできること

  1. ケアマネジャーに「使える軽減制度を全部教えてほしい」と一言伝える — 申請できるのに手続きしていない制度がないか確認する
  2. 高額介護サービス費の申請書が届いたらすぐ手続きする — 請求権は2年で時効
  3. 住んでいる自治体の独自給付制度を調べる — 緊急通報システム・移送支援など、介護保険外の支援を見落とさない
  4. 状態の変化を感じたら早めに区分変更申請を検討する — 要介護2以上になると使えるサービスが増える

この記事は2026年6月時点の情報です。 介護保険制度の内容・金額は改定される場合があります。最新情報は厚生労働省の公式サイトまたはお住まいの市区町村の介護保険課にお問い合わせください。

著者: ケアマネエージェント編集部
本記事はスマくら介護編集部のリサーチに基づき、介護保険法令との整合をAIで照合しています。外部の有資格者による人間監修は順次招聘中であり、本記事には未付与です。

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