要介護3で使える制度まとめ|年間242万円の損失を防ぐ方法【2026年版】

要介護3と認定された場合、介護保険の月額区分支給限度額は270,480円(2026年度)です。 この限度額の範囲内でサービスを使えば、所得に応じて1〜3割の自己負担で済みます。加えて「高額介護サービス費」という還付制度を使えば、住民税非課税世帯では実質月15,000円まで自己負担を抑えることができます。

申請しなければ1円も戻ってきません。実際に制度をフル活用している方と、制度を知らずに全額負担している方とでは、年間最大242万円の差が生じています。

この記事では、要介護3で利用できる制度を金額付きで整理し、「あなたのご家庭なら年間いくら得するか」を3パターンの計算式つきで解説します。

要介護3の区分支給限度額と自己負担の目安

要介護3の月額区分支給限度額は**270,480円(27,048単位)**です(2026年度・1単位=10円換算)。

項目 金額
区分支給限度額(月額) 270,480円(27,048単位)
自己負担額・1割の場合 約27,048円/月
自己負担額・2割の場合 約54,096円/月
自己負担額・3割の場合 約81,144円/月

ただし、これは「限度額いっぱい全額を使った場合」の計算です。実際には高額介護サービス費が適用されるため、住民税非課税世帯の方の実質負担は月15,000円まで抑えられます。

参考: 要介護度別の区分支給限度額(厚生労働省「区分支給限度基準額」2024年4月改定時点)

要介護度 月額限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

要介護2から要介護3に上がると限度額が月73,430円増えます。使えるサービスの幅が大きく広がる「転換点」です。

出典:厚生労働省「介護保険の区分支給限度基準額について」(2026年6月確認)

要介護3で使える制度一覧(2026年度版)

要介護3から利用できる制度は大きく「介護保険サービス」「費用軽減制度」「自治体独自支援」の3カテゴリに分かれます。

介護保険の居宅サービス

自宅で生活しながら利用できるサービスです。ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、270,480円の限度額内で組み合わせます。

サービス名 概要 自己負担目安(1割)
訪問介護 ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護・生活援助を実施 5,000〜20,000円/月
通所介護(デイサービス) 日帰りで食事・入浴・機能訓練を受ける 8,000〜18,000円/月
訪問看護 看護師が自宅で医療的ケアを実施 5,000〜15,000円/月
短期入所(ショートステイ) 施設に短期宿泊。介護者の休息にも活用 8,000〜25,000円/月
通所リハビリテーション(デイケア) 病院・老健でリハビリを受ける 8,000〜20,000円/月
訪問入浴介護 浴槽を持参して自宅での入浴を介助 3,000〜8,000円/月
福祉用具貸与 車椅子・特殊寝台・手すり等のレンタル 1,000〜5,000円/月
居宅療養管理指導 医師・薬剤師が自宅を訪問し療養指導 500〜1,000円/月

施設サービス — 要介護3から「特養」に申し込める

特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の方が申し込みできます。 要介護3の認定を受けて初めて選択肢に入る、重要な制度です。

例えば、次のようなモデルケースが考えられます。75歳男性(要介護3・認知症あり)が認定を受けた場合、担当ケアマネから「今が申し込めるタイミングです」と案内されることがあります。特養の平均待機期間は数ヶ月〜数年と長いため、入所を検討するなら早めの申し込みが大切です。

施設名 概要 月額費用目安(1割負担)
特別養護老人ホーム(特養) 常時介護が必要な方の生活施設。終身利用可能 6〜15万円(食費・居住費含む)
介護老人保健施設(老健) リハビリを中心とした短〜中期滞在施設 7〜17万円
介護医療院 医療ケアと生活介護を一体提供 8〜20万円

※食費・居住費は自己負担になりますが、住民税非課税の方は「特定入所者介護サービス費(補足給付)」で大幅軽減されます。

費用を抑える軽減制度(申請しないと損する制度)

制度名 対象者の目安 軽減効果
高額介護サービス費 月の自己負担が一定額を超えた方 超過分を翌月以降に還付(月最大数万円)
特定入所者介護サービス費 住民税非課税かつ預貯金等が基準額以下で施設に入所している方 食費・居住費に負担上限を設定(例: ユニット型個室・第1段階では月約7万円の軽減に相当)
高額医療合算介護サービス費 医療費と介護費の合計が高額な方 年間の合算負担に上限を設定
社会福祉法人等利用者負担軽減 低所得で特定要件を満たす方 自己負担を最大1/4軽減

高額介護サービス費の月額上限(2026年度)

所得区分 月額上限
生活保護受給者 15,000円(個人)
住民税非課税 かつ 年金収入80.9万円以下 15,000円(個人)/ 24,600円(世帯)
住民税非課税(上記以外) 24,600円(世帯)
住民税課税〜年収約383万円未満 44,400円(世帯)
年収約383万円〜約770万円未満 44,400円(世帯)
年収約770万円〜約1,160万円未満 93,000円(世帯)
年収約1,160万円以上 140,100円(世帯)

出典:厚生労働省「高額介護サービス費について」(2026年6月確認)

自治体独自の支援(見落としがちな給付)

多くの市区町村が、要介護3以上の方を対象に独自の支援制度を設けています。介護保険の制度とは別に申請が必要なため、担当ケアマネや地域包括支援センターに確認しましょう。

  • 紙おむつ・介護用品の現物給付:月2,000〜5,000円相当(自治体によって異なる)
  • 介護者へのヘルパー派遣補助:独自のサービスを低負担で追加利用可能
  • 家族介護慰労金:長期在宅介護をしている家族への一時金(年間数万円)
  • 外出支援・移送サービス:通院時の交通費補助

申請手順 — 制度別チェックリスト

介護保険サービスを使い始めるまでの流れ

  1. 要介護認定の申請(市区町村の介護保険課または地域包括支援センター)
  2. 認定調査の受診 + 主治医に意見書作成を依頼(無料)
  3. 認定結果通知(申請から約30日)
  4. ケアマネジャーを選ぶ(居宅介護支援事業所に連絡、費用は全額介護保険負担で自己負担ゼロ)
  5. ケアプラン作成(どのサービスを何回使うか計画)
  6. サービス利用開始

高額介護サービス費の申請方法

初回のみ手続きが必要で、以降は自動的に還付されます。

  1. 対象月の翌月頃に市区町村から申請書が送付される
  2. 必要事項を記入して返送(または窓口持参)
  3. 指定口座に差額が振り込まれる

申請書が届かない場合は自分から市区町村の介護保険窓口へ問い合わせを。請求権は2年間で時効になります。気づかず放置すると、過去の還付金が受け取れなくなります。

特定入所者介護サービス費(補足給付)の申請

施設に入所する前に市区町村で申請します。

  1. 「介護保険負担限度額認定申請書」を市区町村窓口に提出
  2. 預貯金・資産の確認(通帳コピーなどが必要)
  3. 「介護保険負担限度額認定証」の交付(入所時に施設へ提出)
  4. 認定区分に応じて食費・居住費が自動軽減

シミュレーション — 3パターンで計算

適格条件エンジン(CARE_LEVEL_LIMITS・HIGH_COST_LIMITS・BURDEN_RATIOS)を使い、代表的な3パターンで計算しました。計算条件は「区分支給限度額の80%(216,384円/月)を利用した場合」です。

自分のケースで計算したい方: 介護費用シミュレーターで所得・世帯構成を入力すると、実質月額負担と年間節約額を自動計算できます(無料)。

ケース1: 独居・住民税非課税(年金収入80.9万円以下)

75歳、ひとり暮らし。老齢年金のみで生活しており、子どもは別世帯に住んでいます。

計算ステップ 金額
月額利用額(限度額の80%) 216,384円
自己負担割合 1割
計算上の月額自己負担 21,638円
高額介護サービス費上限(個人・第2段階) 15,000円
21,638円 > 15,000円 → 差額を還付 ▲6,638円/月
実質月額負担 15,000円
実質年間負担 180,000円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:2,596,608円

→ 制度を活用することで年間約242万円の差額が生まれます

(計算式: 2,596,608円 − 180,000円 = 2,416,608円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

ケース2: 夫婦世帯・住民税課税(年収250万円程度)

78歳、配偶者と2人暮らし。年金に加えて若干の給与収入があります。本人の合計所得金額は160万円未満。

計算ステップ 金額
月額利用額(限度額の80%) 216,384円
自己負担割合 1割
月額自己負担 21,638円
高額介護サービス費上限(世帯・第4段階) 44,400円
21,638円 < 44,400円 → 還付なし
実質月額負担 21,638円
実質年間負担 259,656円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:2,596,608円

→ 制度を活用することで年間約234万円の差額が生まれます

(計算式: 2,596,608円 − 259,656円 = 2,336,952円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

ケース3: 子と同居・2割負担(合計所得180万円)

72歳、子ども家族と同居。年金収入に加えて不動産収入があり、合計所得金額は160万円以上220万円未満のため2割負担。

計算ステップ 金額
月額利用額(限度額の80%) 216,384円
自己負担割合 2割
月額自己負担 43,276円
高額介護サービス費上限(世帯・第4段階) 44,400円
43,276円 < 44,400円 → 還付なし(わずかに下回る)
実質月額負担 43,276円
実質年間負担 519,312円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:2,596,608円

→ 制度を活用することで年間約208万円の差額が生まれます

(計算式: 2,596,608円 − 519,312円 = 2,077,296円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

シミュレーション比較表

パターン 月額実質負担 年間実質負担 制度なし年間負担 年間差額
ケース1(独居・非課税・1割) 15,000円 180,000円 2,596,608円 約242万円
ケース2(夫婦・課税・1割) 21,638円 259,656円 2,596,608円 約234万円
ケース3(子同居・2割) 43,276円 519,312円 2,596,608円 約208万円

よくある質問(FAQ)

Q: 要介護3と要介護2では、使える制度にどのくらい差がある?

要介護3になると、月額の区分支給限度額が73,430円増えます(要介護2: 197,050円 → 要介護3: 270,480円)。それ以上に大きい変化は、特別養護老人ホームへの入所申し込みができるようになることです。要介護2以下では原則として特養に申し込めないため、在宅での生活継続が難しくなったとき、入所できる施設の選択肢が大幅に広がります。

Q: 要介護3でも自宅で生活できる?

はい、多くの方が自宅で生活されています。訪問介護・デイサービス・ショートステイを組み合わせたケアプランを組めば、区分支給限度額270,480円の中で十分なサービスを受けながら在宅生活を続けられます。施設入所は義務ではなく、選択肢のひとつです。ケアマネジャーと相談しながら、本人・家族の状況に合ったプランを組むことをお勧めします。

Q: 申請してからサービスを使えるまで、どのくらいかかる?

要介護認定の結果が出るまで申請から約30日かかります。ただし、認定申請と同時にサービスを暫定利用することが可能です(認定後に要介護3が確定すれば、暫定期間も介護保険が適用されます)。急いでサービスが必要な場合は、地域包括支援センターかケアマネジャーに「暫定ケアプランで先にサービスを使いたい」と伝えましょう。

Q: 高額介護サービス費はいつ申請すればいい?

対象となった翌月以降に市区町村から申請書が送られてきます。届いたらすぐに手続きしてください。申請書が届かない場合は自分から市区町村の介護保険窓口へ問い合わせましょう。請求権は2年間で時効になります。遡って申請できる期間が限られているため、気づいたときに早めに手続きすることが重要です。

Q: 要介護度が変わったらどうすればいい?

状態が重くなったと感じたら、いつでも「区分変更申請」ができます(審査に約30日)。要介護3から要介護4に上がれば区分支給限度額が309,380円に増えます。逆に、リハビリで状態が改善して認定更新時に要介護度が下がった場合は、使えるサービスや限度額が変わるため、ケアマネジャーとケアプランを見直す必要があります。変更申請は費用がかからないため、「なんとなく状態が変わってきた」と感じたら早めに相談することをお勧めします。

まとめ — 要介護3で「損しない」ために今すぐできること

  1. ケアマネジャーに「使える軽減制度を全部教えてほしい」と一言伝える — 申請できるのに手続きしていない制度がないか確認する
  2. 高額介護サービス費の申請書が届いたらすぐ手続きする — 請求権は2年で時効
  3. 施設入所を将来的に考えているなら、今すぐ特養に申し込む — 待機期間は長い
  4. 住んでいる自治体の独自給付制度を調べる — 紙おむつ支給・家族介護慰労金など、見落としがちな給付が存在する

この記事は2026年6月時点の情報です。 介護保険制度の内容・金額は改定される場合があります。最新情報は厚生労働省の公式サイトまたはお住まいの市区町村の介護保険課にお問い合わせください。

著者: ケアマネエージェント編集部
本記事はスマくら介護編集部のリサーチに基づき、介護保険法令との整合をAIで照合しています。外部の有資格者による人間監修は順次招聘中であり、本記事には未付与です。

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