要介護5で使える制度まとめ|年間391万円の損失を防ぐ方法【2026年版】

要介護5の月額区分支給限度額は362,170円(2026年度)です。 この限度額の範囲内でサービスを使えば、所得に応じて1〜3割の自己負担で済みます。さらに「高額介護サービス費」で上限が設けられるため、住民税非課税で年金収入等が80.9万円以下の方(第2段階)では実質月15,000円まで自己負担を抑えられます。

制度を知らずに全額自己負担した場合と、正しく活用した場合では年間最大391万円の差が生じます。申請しなければ1円も戻ってきません。

この記事では、要介護5で利用できる制度を金額付きで整理し、「あなたのご家庭なら年間いくら得するか」を3パターンの計算根拠つきで解説します。

要介護5の区分支給限度額と自己負担の目安

要介護5の月額区分支給限度額は**362,170円(36,217単位)**です(2026年度・1単位=10円換算)。全7段階の介護保険認定区分の中で最も高い限度額です。

項目 金額
区分支給限度額(月額) 362,170円(36,217単位)
自己負担額・1割の場合 約36,217円/月
自己負担額・2割の場合 約72,434円/月
自己負担額・3割の場合 約108,651円/月

ただし、これは「限度額いっぱい使った場合の計算値」です。高額介護サービス費が適用されるため、住民税非課税で年金収入等80.9万円以下の方(第2段階)の実質負担は月15,000円に抑えられます。

要介護度別の区分支給限度額(厚生労働省・2024年4月改定時点)

要介護度 月額限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

要介護4から要介護5に上がると限度額が月52,790円増えます。24時間対応サービスや医療連携サービスを組み込む幅が広がります。

出典:厚生労働省「介護保険の区分支給限度基準額について」(2026年6月確認)

要介護5で使える制度一覧(2026年度版)

要介護5では、居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスのすべてが対象です。加えて自己負担を抑える費用軽減制度も複数あります。

介護保険の居宅サービス

自宅で生活しながら利用できるサービスです。ケアマネジャーと相談しながら362,170円の限度額内で組み合わせます。

サービス名 概要 自己負担目安(1割)
訪問介護 ヘルパーが身体介護・生活援助を実施 10,000〜30,000円/月
通所介護(デイサービス) 日帰りで食事・入浴・機能訓練 10,000〜22,000円/月
訪問看護 看護師・理学療法士が自宅を訪問 8,000〜20,000円/月
短期入所(ショートステイ) 施設での一時滞在。介護者の休息にも活用 12,000〜30,000円/月
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 24時間対応の訪問介護と看護の複合型サービス 25,000〜35,000円/月
夜間対応型訪問介護 夜間専用のヘルパー巡回サービス 5,000〜15,000円/月
通所リハビリテーション(デイケア) 病院・老健でのリハビリ 10,000〜25,000円/月
訪問入浴介護 浴槽持参で自宅での入浴を介助 5,000〜12,000円/月
福祉用具貸与 車椅子・特殊寝台・床ずれ防止用具等 1,500〜8,000円/月

要介護5では定期巡回・随時対応型訪問介護看護が特に有効です。24時間365日、必要なタイミングで短時間の訪問を複数回受けられるため、重度の身体機能低下や頻繁な体位交換が必要な方に向いています。

施設サービス

要介護5では全ての施設サービスを利用できます。特養・老健では要介護5の方を受け入れる体制が整っており、重度対応加算が設定されている施設もあります。

施設名 概要 月額費用目安(1割負担)
特別養護老人ホーム(特養) 常時介護が必要な方の生活施設(終身利用可) 7〜18万円(食費・居住費含む)
介護老人保健施設(老健) リハビリを中心とした中間施設 8〜18万円
介護医療院 医療ケアと生活介護を一体提供(長期療養対応) 10〜25万円
地域密着型特別養護老人ホーム 定員29人以下の小規模特養(地域限定) 7〜18万円

※食費・居住費は別途自己負担ですが、住民税非課税の方は補足給付(特定入所者介護サービス費)で大幅に軽減されます。

費用を抑える軽減制度(申請しないと損する制度)

制度名 対象者の目安 軽減効果
高額介護サービス費 月の自己負担が所得段階別上限を超えた方 超過分を翌月以降に還付
特定入所者介護サービス費(補足給付) 住民税非課税かつ預貯金等が基準額以下で施設に入所している方 食費・居住費に負担上限を設定(例: ユニット型個室・第1段階では月約7万円の軽減に相当)
高額医療合算介護サービス費 医療費と介護費の合計が高額な方 年間合算負担に上限を設定
社会福祉法人等利用者負担軽減 低所得で特定要件を満たす方 自己負担を原則1/4軽減(老齢福祉年金受給者は1/2)

高額介護サービス費の月額上限(2026年度)

所得区分 月額上限
生活保護受給者 15,000円(個人)
住民税非課税 かつ 年金収入等80.9万円以下 15,000円(個人)/ 24,600円(世帯)
住民税非課税(上記以外) 24,600円(世帯)
住民税課税〜年収約383万円未満 44,400円(世帯)
年収約383万円〜約770万円未満 44,400円(世帯)
年収約770万円〜約1,160万円未満 93,000円(世帯)
年収約1,160万円以上 140,100円(世帯)

出典:厚生労働省「高額介護サービス費について」(2026年6月確認)

申請手順 — 制度別チェックリスト

介護保険サービスを使い始めるまでの流れ

  1. 要介護認定の申請(市区町村の介護保険課または地域包括支援センターへ)
  2. 認定調査の受診(調査員が自宅または入院先を訪問、約30〜60分)
  3. 主治医の意見書作成(かかりつけ医に依頼。市区町村が書式を送付)
  4. 認定結果の通知(申請から原則30日以内)
  5. ケアマネジャーを選ぶ(居宅介護支援事業所に連絡、費用は介護保険負担でゼロ)
  6. ケアプラン作成(利用するサービスと回数を決定)
  7. サービス利用開始

高額介護サービス費の申請方法(初回のみ)

  1. 対象月の翌月頃に市区町村から申請書が届く
  2. 必要事項を記入して返送(または窓口持参)
  3. 指定口座に差額が振り込まれる
  4. 2回目以降は自動的に還付(再申請不要)

申請書が届かない場合は自分から介護保険課へ問い合わせを。請求権は2年間で時効のため、過去分も確認してください。

特定入所者介護サービス費(補足給付)の申請

施設入所前に市区町村で申請します。「介護保険負担限度額認定証」が交付され、施設に提示することで食費・居住費が自動的に軽減されます。

シミュレーション — 3パターンで計算

適格条件エンジン(CARE_LEVEL_LIMITS・HIGH_COST_LIMITS・BURDEN_RATIOS)を使い、3パターンで年間の実質負担を計算しました。

自分のケースで計算したい方: 介護費用シミュレーターで所得・世帯構成を入力すると、実質月額負担と年間節約額を自動計算できます(無料)。

ケース1: 独居・住民税非課税(年金収入等80.9万円以下)

80歳、ひとり暮らし。老齢年金のみで生活し、子どもは別世帯に住んでいます。自宅での生活を希望し、週4回のデイサービスと週3回のヘルパー派遣を組み合わせて利用しています。

計算ステップ 金額
区分支給限度額(CARE_LEVEL_LIMITS[要介護5]) 362,170円/月
月額利用額(限度額の80%) 289,736円
自己負担割合(BURDEN_RATIOS・1割) 10%
計算上の月額自己負担 28,973円
高額介護サービス費上限(HIGH_COST_LIMITS・第2段階・個人) 15,000円
28,973円 > 15,000円 → 差額を還付 ▲13,973円/月
実質月額負担 15,000円
実質年間負担 180,000円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:289,736円 × 12 = 3,476,832円

→ 制度を活用することで年間約330万円の差額が生まれます

(計算式: 3,476,832円 − 180,000円 = 3,296,832円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

ケース2: 夫婦世帯・住民税課税(合計所得160万円未満、1割負担)

82歳、配偶者と2人暮らし。年金収入は月合計約22万円。本人の合計所得金額は160万円未満のため1割負担。区分支給限度額を上限まで活用したケースです。

計算ステップ 金額
区分支給限度額(CARE_LEVEL_LIMITS[要介護5]) 362,170円/月
月額利用額(限度額100%) 362,170円
自己負担割合(BURDEN_RATIOS・1割) 10%
月額自己負担 36,217円
高額介護サービス費上限(HIGH_COST_LIMITS・第4段階・世帯) 44,400円
36,217円 < 44,400円 → 上限未到達・還付なし
実質月額負担 36,217円
実質年間負担 434,604円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:362,170円 × 12 = 4,346,040円

→ 制度を活用することで年間約391万円の差額が生まれます

(計算式: 4,346,040円 − 434,604円 = 3,911,436円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

ケース3: 子と同居・2割負担

78歳、息子夫婦と同居。合計所得金額が160万円以上220万円未満で、かつ年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身で280万円以上に該当するため2割負担。高額介護サービス費の上限が適用されます。

計算ステップ 金額
区分支給限度額(CARE_LEVEL_LIMITS[要介護5]) 362,170円/月
月額利用額(限度額100%) 362,170円
自己負担割合(BURDEN_RATIOS・2割) 20%
月額自己負担 72,434円
高額介護サービス費上限(HIGH_COST_LIMITS・第4段階・世帯) 44,400円
72,434円 > 44,400円 → 差額を還付 ▲28,034円/月
実質月額負担 44,400円
実質年間負担 532,800円

制度を使わず全額自己負担した場合の年間負担:362,170円 × 12 = 4,346,040円

→ 制度を活用することで年間約381万円の差額が生まれます

(計算式: 4,346,040円 − 532,800円 = 3,813,240円)

本シミュレーション結果は法令整合チェック済みです。

シミュレーション比較表

パターン 月額実質負担 年間実質負担 制度なし年間負担 年間差額
ケース1(独居・非課税・1割) 15,000円 180,000円 3,476,832円 約330万円
ケース2(夫婦・課税・1割) 36,217円 434,604円 4,346,040円 約391万円
ケース3(子同居・2割) 44,400円 532,800円 4,346,040円 約381万円

よくある質問(FAQ)

Q: 要介護5と要介護4では、使える制度にどのくらい差がある?

区分支給限度額が月額52,790円増えます(要介護4: 309,380円 → 要介護5: 362,170円)。費用的な差だけでなく、夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型サービスなど、重度の方向けの24時間対応サービスがケアプランに組み込みやすくなります。要介護5は介護度の最重度区分で、施設入所の審査においても優先度が上がるケースがあります。

Q: 要介護5でも自宅で生活できる?

できます。ただし、家族の介護負担は相当大きくなります。定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間コール対応)と訪問看護・ヘルパーを組み合わせれば、在宅生活を維持するプランを組めます。在宅継続か施設入所かは、本人の意向・家族の状況・医療的ケアの必要性を含めてケアマネジャーと相談しながら決めることをお勧めします。

Q: 要介護5になったら特養には優先的に入れますか?

申し込みの優先度は高くなります。特養の入所選考は、要介護度・在宅介護の困難度・緊急性などを総合的に判断します。要介護5は最重度のため、他の条件が同じであれば入所順位が上がる傾向があります。ただし確約はできないため、早めの申し込みが有効です。

Q: 高額介護サービス費の申請をしていなかった場合、さかのぼれますか?

2年間さかのぼって申請できます(消滅時効2年)。申請書が届かなかった月や、忙しくて手続きを忘れた月分も遡及申請できます。まず市区町村の介護保険課に「過去分の申請をしたい」と伝えるだけで案内してもらえます。

Q: 区分支給限度額362,170円を超えてサービスを使いたい場合はどうする?

超過分は全額自己負担になります。在宅サービスで限度額を超えることが多い場合は、施設サービスへの移行も選択肢に入れることをケアマネジャーと相談してください。なお、特養・老健・介護医療院の施設サービス費は区分支給限度額の枠とは別の計算になります。

まとめ — 要介護5で「損しない」ために今すぐできること

  1. ケアマネジャーに「使える軽減制度をすべて確認してほしい」と伝える — 申請漏れがないか点検する
  2. 高額介護サービス費の申請書が届いたらすぐ手続きする — 請求権は2年で時効
  3. 施設入所を視野に入れているなら、今すぐ特養に申し込む — 待機期間は長い
  4. 住民税非課税の方は補足給付(特定入所者介護サービス費)の手続きを確認する — 施設の食費・居住費が大幅に下がる
  5. 医療費が高い方は高額医療合算介護サービス費も確認する — 介護費と医療費の年間合算に上限あり

この記事は2026年6月時点の情報です。 介護保険制度の内容・金額は改定される場合があります。最新情報は厚生労働省の公式サイトまたはお住まいの市区町村の介護保険課にお問い合わせください。

著者: ケアマネエージェント編集部
本記事はスマくら介護編集部のリサーチに基づき、介護保険法令との整合をAIで照合しています。外部の有資格者による人間監修は順次招聘中であり、本記事には未付与です。

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