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- 在宅介護と施設介護の違いを知りたい
- 在宅で使えるサービスと費用を知りたい
- 施設の種類と費用を比較したい
- 在宅 vs 施設の費用をまとめて比較したい
- どちらを選べばいいか迷っている
- よくある質問を見たい
- 今日から動くために何をすればいいか知りたい
「在宅介護を続けたいが、体力的にも精神的にも限界に近い」「施設に入れることを考えているが、費用がいくらかかるのかまったくわからない」——多くの家族が直面する、この「在宅か施設か」という問いには、正解がありません。本人の状態・家族の介護力・経済状況・本人の希望、これら4つが絡み合うからです。
この記事では、在宅介護と施設介護のサービス・費用・メリット・デメリットを要介護度別に徹底比較し、どちらが自分たちの状況に合っているかを判断するための視点と手順を整理します。費用データはすべて厚生労働省の公式情報および2024年4月改定後の介護報酬にもとづいており、#section-faq のFAQには現場でよく出る12の質問にまとめて答えました。
⚠️ この記事について: 本文中の費用はすべて2026年6月時点の公的情報にもとづく目安です。実際の自己負担額は要介護度・所得段階・地域・サービス事業者によって異なります。個別の費用は必ずお住まいの市区町村介護保険窓口またはケアマネジャーにご確認ください。
在宅介護と施設介護の全体像 {#section-overview}
在宅介護と施設介護では、「生活の場」がどこかが最大の違いです。 在宅介護は自宅を生活の場として維持したまま介護サービスを利用する形態で、施設介護は施設に移り住んで24時間の支援を受ける形態です。どちらも介護保険の対象ですが、使えるサービスの種類・費用の構造・本人や家族の生活スタイルへの影響が大きく異なります。
介護保険制度の基本
介護保険制度は2000年(平成12年)4月にスタートし、40歳以上の全国民が保険料を負担し、要介護認定を受けた人が原則1割の自己負担でサービスを利用できる仕組みです(所得に応じて2割・3割)。根拠法令は介護保険法で、保険者は市区町村・特別区、窓口は各自治体の介護保険課です。
サービスを利用するには、まず要介護認定の申請が必要です。申請から結果通知まで原則30日以内で、要支援1〜2・要介護1〜5のいずれか(または非該当)の結果が届きます。認定を受けた後、在宅か施設かを選んでサービスを組み合わせていきます。
要介護認定の手続きについては「はじめての要介護認定 完全ガイド」を参照してください。
在宅介護と施設介護の違い — 5項目で整理
| 比較項目 | 在宅介護 | 施設介護 |
|---|---|---|
| 生活の場 | 自宅 | 施設(共同生活または個室) |
| 支援体制 | 家族+訪問・通所サービス | 施設スタッフが24時間常駐 |
| 介護保険の使い方 | 区分支給限度額の範囲でサービスを組み合わせ | 施設サービス費として一体請求 |
| 費用構造 | サービス費(1割等)+介護保険外費用 | 介護サービス費+居住費+食費+日常生活費 |
| 本人・家族の関係 | 家族が同居または近居で介護の一端を担う | 面会は自由だが日常の介護はスタッフ主体 |
在宅介護を支える3つの制度軸
在宅介護は大きく3つのカテゴリのサービスで成り立っています。
① 訪問系サービス: 自宅に来てもらう。訪問介護(身体介護・生活援助)、訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴介護など。 ② 通所系サービス: 施設に通う。通所介護(デイサービス)、通所リハビリ(デイケア)、小規模多機能型居宅介護など。 ③ 短期入所: 一時的に施設に泊まる。ショートステイ(短期入所生活介護・療養介護)。
これら3つを組み合わせることで、家族の仕事・睡眠・外出時間を確保しながら在宅介護を継続できます。
施設介護の4種類
施設介護を選ぶ場合、施設の種類によって入所条件・費用・医療対応・待機期間が大きく変わります。
| 施設種類 | 主な対象 | 費用の目安(月額・1割) |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則要介護3以上、終身利用 | 5万〜18万円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1以上、在宅復帰を目標 | 8万〜17万円 |
| グループホーム | 認知症・要支援2以上 | 10万〜20万円 |
| 介護付き有料老人ホーム | 要介護度は施設次第、終身利用 | 15万〜30万円以上 |
田中さん(仮名・82歳・要介護4)の場合: 長女が週3日、ヘルパーを週2回使って2年間在宅介護を続けていましたが、夜間の徘徊が始まり限界に。施設を検討した際、特養の待機が1年以上と言われ、まず老健に入所し在宅復帰を目指すことにしました。老健での3ヶ月のリハビリで状態が安定し、その後特養に申し込み直して入所しました。
在宅介護で使えるサービスと費用 {#section-zaitaku}
在宅介護は、要介護度ごとに決まる「区分支給限度額」の範囲内でサービスを自由に組み合わせる形です。 限度額を超えた部分は全額自己負担になりますが、うまく組み合わせれば月の実費負担を1〜2万円台に抑えながら、週5日以上の支援を受けることも可能です。
区分支給限度額(2024年4月改定後)
区分支給限度額とは、介護保険が給付してくれる上限額のことです。この範囲内で使う分は原則1割(または2割・3割)の自己負担で済みます。
| 要介護度 | 月の区分支給限度額 | 1割負担の上限 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 | 約5,032円 |
| 要支援2 | 105,310円 | 約10,531円 |
| 要介護1 | 167,650円 | 約16,765円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 約19,705円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 約27,048円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 約30,938円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 約36,217円 |
出典: 厚生労働省「介護保険制度の概要」(2024年4月改定後の値)
「1割負担の上限」はあくまで介護保険サービス費の上限であり、これとは別に食費・日用品・交通費などの実費が加わります。
自分の場合の自己負担額を試算したい方へ: 介護保険自己負担シミュレーターで、要介護度と所得を入力するだけで月額費用の目安が計算できます。
在宅介護の主なサービスと費用の目安
訪問系サービス
**訪問介護(ホームヘルパー)**は最もよく使われるサービスです。身体介護(入浴・排泄・食事の介助)と生活援助(掃除・洗濯・買い物)に分かれ、1回あたり20〜90分のサービスを提供します。
- 身体介護(20分未満): 163円(1割負担)/1回
- 身体介護(20分以上30分未満): 244円(1割負担)/1回
- 身体介護(30分以上1時間未満): 387円(1割負担)/1回
- 生活援助(20分以上45分未満): 179円(1割負担)/1回
(令和6年度介護報酬改定後の基本報酬にもとづく目安。加算・地域単価により実際の金額は変動します。)
訪問介護の詳細は「訪問介護 完全ガイド」で解説しています。
訪問看護は、看護師や理学療法士が自宅を訪問し、医療的なケアやリハビリを行うサービスです。医師の指示書が必要で、医療保険との切り替えもあります。
訪問入浴介護は、浴槽を持って自宅に来てくれる介護サービスです。自宅の浴室が使えない方や重度の介護状態の方に使われます。1回あたり約1,260円(1割)が目安。
通所系サービス
**通所介護(デイサービス)**は、施設に日帰りで通い、食事・入浴・機能訓練・レクリエーションを受けるサービスです。家族のレスパイト(息抜き)としての意味合いも大きく、週2〜3回の利用が一般的です。
- 要介護1(7時間以上8時間未満): 約658円(1割)/1回
- 要介護2(7時間以上8時間未満): 約777円(1割)/1回
- 要介護3(7時間以上8時間未満): 約900円(1割)/1回
- 要介護4(7時間以上8時間未満): 約1,023円(1割)/1回
- 要介護5(7時間以上8時間未満): 約1,148円(1割)/1回 ※加算や送迎費・食費を除く、通常規模型の基本報酬(令和6年度介護報酬改定後)。時間区分により単価は異なり、実際は事業所によっても異なります。
デイサービスとデイケア(通所リハビリ)の違いは、デイケアは医師の配置が義務付けられており、リハビリに特化したサービスである点です。骨折後の回復期やリハビリを続けたい方に向いています。
小規模多機能型居宅介護は、1つの事業所で「通い・訪問・泊まり」をセットで提供するサービスです。月額定額制(要介護3で約22,800円・1割)なので、サービス利用量を気にせず柔軟に使えます。急な泊まりにも対応できるため、「今日は調子が悪いから泊まりに変更」などの対応が可能です。
短期入所(ショートステイ)
**短期入所生活介護(ショートステイ)**は、施設に一時的に泊まるサービスです。家族が旅行や入院をするとき、疲弊したときのリフレッシュに活用されます。
連続利用は30日以内、年間の利用日数は概ね180日程度が一般的な目安とされています(要介護度・ケアプランにより異なり、法令上の絶対的な日数上限ではありません)。1日あたりの費用は1割負担で600〜900円台(基本報酬)が目安ですが、居住費・食費は全額自己負担となるため、実質1日あたり2,000〜5,000円程度になります。
ショートステイの詳細は「ショートステイ完全ガイド」をご覧ください。
住宅改修と福祉用具
在宅介護を安全に続けるために、住宅改修と福祉用具のサポートも使えます。
住宅改修(手すりの設置・段差解消・引き戸への改修など)は、支給限度基準額20万円までが介護保険の対象です。給付率は他の介護サービスと同様に自己負担割合に応じて異なり、1割負担の方は9割給付(最大18万円)、2割負担の方は8割給付(最大16万円)、3割負担の方は7割給付(最大14万円)となります。1回限りの給付ですが、要介護度が3段階上がった場合は再度申請できます。
**福祉用具貸与(レンタル)**では、車いす・特殊寝台(介護ベッド)・手すり・スロープ・歩行補助杖など13品目をレンタルできます。1割負担(例: 手すり月額100〜200円)で使えるため、購入より費用を抑えられます。
在宅介護の実際の費用シミュレーション
【ケースA】要介護2・週4日のサービス利用(1割負担)
- 訪問介護(身体介護30〜60分未満)週2回×4週=8回: 約3,096円/月
- 通所介護(デイサービス・要介護2)週2回×4週=8回: 約6,216円/月
- 福祉用具貸与(介護ベッド・手すり): 約1,200円/月
- 合計介護保険自己負担: 約10,500円/月
- 食費・日用品等(実費): 別途
自己負担(1割)が約10,500円ということは、サービス費用の全体(10割相当)は約105,000円です。要介護2の区分支給限度額(197,050円/月)に対して約53%の利用率で、まだ余裕があるため、調子が悪い日にショートステイを追加することも可能です。
【ケースB】要介護4・在宅限界に近い状態(1割負担)
- 訪問介護(身体介護30〜60分未満)1日1回・週5日×4週=20回: 約7,740円/月
- 通所介護(要介護4)週2回×4週=8回: 約8,184円/月
- 訪問介護・通所介護の合計介護保険自己負担: 約15,900円/月
- ショートステイ(月4泊、基本報酬1割分+食費・居住費実費込の目安): 約18,000円/月
- 月の総費用目安: 介護保険サービス費(訪問介護・通所介護の1割相当)+ショートステイ実費+食費・日用品等で5〜7万円前後
訪問介護・通所介護の自己負担(1割)約15,900円は、サービス費用全体(10割相当)で約159,000円にあたります。要介護4の区分支給限度額(309,380円)に対して約51%の利用率で、訪問看護等を追加する余地も残しながら在宅継続しているイメージです。家族の介護時間は週20時間程度まで抑えられます。
在宅介護に向いているケース
在宅介護が有効に機能しやすいのは、次のような状況です。
- 本人が「自宅にいたい」という強い意向がある
- 家族が日中または夜間に介護できる時間がある(同居・近居)
- 認知症が軽度〜中程度で、自宅での生活リズムを保てる
- 医療依存度が高くなく、訪問看護で対応できる範囲
- 要介護1〜2程度で、区分支給限度額内にサービスが収まる
介護施設の種類と費用比較 {#section-shisetsu}
介護施設を選ぶ際、最初に知っておくべきことは「施設の種類によって入所条件・費用・医療対応・待機期間がまったく異なる」という事実です。 「施設に入れよう」と決めた後で種類を選ばないと、「希望した施設には入れない」「費用が合わない」という事態に陥りがちです。
特別養護老人ホーム(特養)
**特別養護老人ホーム(特養)**は、老人福祉法にもとづく公的施設で、介護保険3施設の中で最も費用負担が少なく、終身利用ができます。社会福祉法人か地方公共団体のみが運営でき(株式会社は参入不可)、国の補助金が入る分、費用が低く抑えられています。
入所条件: 原則として要介護3以上(2015年から)。要介護1・2でも、認知症の行動・心理症状が著しい場合や独居など家族の支援を受けにくい状況では入所できることがあります。
月額費用の目安(2026年4月時点・1割負担・第4段階)
| 部屋タイプ | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
|---|---|---|---|
| 多床室(相部屋) | 約9.5万円 | 約10.0万円 | 約10.5万円 |
| ユニット型個室 | 約14万円 | 約15万円 | 約16万円 |
住民税非課税世帯は「特定入所者介護サービス費(補足給付)」の申請で食費・居住費が大幅に軽減され、多床室・第1段階(生活保護等)では月5万円台に収まるケースもあります。申請には「介護保険負担限度額認定証」の取得が必要です。
特養の最大のデメリットは、待機期間の長さです。都市部では待機者が100〜300人を超える施設も珍しくなく、申し込みから入所まで数年かかることがあります。「要介護3以上になったらすぐ申し込む」ことが、実質的な早期対応策です。
詳しくは「特別養護老人ホーム完全ガイド」を参照してください。
介護老人保健施設(老健)
**介護老人保健施設(老健)**は、介護保険法第8条第28項にもとづく施設で、病院から自宅への橋渡し(中間施設)として機能します。医師・看護師・理学療法士が常駐し、リハビリに力を入れているのが特徴です。
入所条件: 要介護1以上。病院を退院後に「まだ自宅には戻れない」「リハビリを続けたい」という場合に選ばれます。
月額費用の目安(2026年・1割負担)
| 部屋タイプ | 月額費用の目安 |
|---|---|
| 多床室 | 約8〜14万円 |
| ユニット型個室 | 約13〜17万円 |
老健は在宅復帰を目標とした施設のため、長期入所は原則として想定されておらず、3〜6ヶ月程度での退所(在宅または他施設への移行)を見込みます。「とりあえず老健に入って特養を待つ」という使い方をされることも実態としてあります。
詳しくは「老健完全ガイド」を参照してください。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
グループホームは、認知症の診断を受けた要支援2以上の高齢者が、少人数(5〜9人)のユニットで共同生活を送る施設です。「住み慣れた環境に近い少人数の家庭的な雰囲気」と「認知症専門スタッフの支援」の組み合わせが特徴で、認知症の進行を穏やかにする効果が期待されています。
入所条件: 認知症の診断+要支援2以上。施設がある市区町村内に住民票があること(地域密着型サービスのため)。
月額費用の目安: 約10万〜20万円(施設・居住費・食費によって幅広い)
特養・老健と違い、グループホームは介護サービス費以外に居住費・食費が全額実費のため、施設の設定によっては特養のユニット型個室と同程度の費用になることがあります。
詳しくは「グループホーム完全ガイド」をご覧ください。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、民間事業者(株式会社等)が運営する施設で、介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けています。公的施設に比べて設備・サービスの質にバリエーションがあり、月額15万〜30万円以上(入居一時金が別途かかる場合も)が一般的な費用感です。
個室が基本で、入浴・食事のサービスが充実しているケースが多く、「費用はかかっても快適な環境で過ごしてほしい」という家族のニーズに応えられます。ただし、費用水準の幅が大きいため、見学・比較が不可欠です。
施設介護に向いているケース
次のような状況では施設への移行を検討する段階です。
- 認知症による徘徊・暴力・夜間の介護が繰り返されている
- 家族が介護により体調を崩した、または燃え尽き症候群になっている
- 本人が要介護4〜5で、医療的ケアが常時必要
- 介護者が高齢者(老老介護)で、転倒・事故のリスクが高まっている
- 独居で、緊急時の対応ができる家族が近くにいない
費用を比較する — 在宅 vs 施設 {#section-cost}
「在宅介護は安く、施設は高い」というイメージは正確ではありません。 在宅介護は要介護度が重くなるほど、訪問・通所・ショートステイのコストが膨らみ、家族の仕事への影響(収入減・転職)も含めた「見えない費用」が加わります。一方、施設介護は月額費用が明確で、高額介護サービス費制度を使えば一定の上限も設けられます。
在宅介護の費用構造
在宅介護にかかる費用は大きく2種類に分かれます。
① 介護保険サービス費(自己負担分): 区分支給限度額の範囲内で使った分の1割(または2割・3割)。前掲の限度額一覧を参照。
② 介護保険外の費用(全額自己負担):
- 限度額を超えたサービス費
- 食費(訪問・通所サービス利用時の弁当代等)
- 交通費・送迎費
- 日用品・衛生用品費
- 家族の仕事への影響(機会費用)
公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度版によれば、在宅介護にかかる一時的な費用(住宅改修・介護用ベッド購入等)の平均は47.2万円、その後の月々の費用の平均は9.0万円、介護を行った期間の平均は**55.0ヶ月(4年7ヶ月)**です(在宅・施設を合わせた全体平均。在宅のみでは月々の費用は平均5.3万円)。単純計算で総額は約542万円になります。
施設介護の費用構造
施設介護の費用は4項目の合算です。
A. 介護サービス費(1〜3割): 要介護度・施設種類によって決まる介護報酬の自己負担分。 B. 居住費(室料): 部屋タイプ(多床室・個室)によって異なります。 C. 食費: 基準費用額(1,445円/日。令和6年8月の居住費改定後も食費のこの基準額に変更はありません)が標準。住民税非課税世帯は補足給付で軽減。 D. 日常生活費: 理美容・日用品等。施設によって月1〜3万円程度。
高額介護サービス費 — 家計の安全網
在宅・施設どちらでも、同一月の介護保険サービスの自己負担が上限額を超えた場合、高額介護サービス費として払い戻しが受けられます(食費・居住費・日常生活費は対象外)。
| 所得区分 | 月の上限額(世帯) |
|---|---|
| 現役並み所得者(年収約1,160万円以上) | 140,100円 |
| 現役並み所得者(年収約770万円以上) | 93,000円 |
| 一般(住民税課税世帯) | 44,400円 |
| 市町村民税非課税世帯(一般) | 24,600円 |
| 年金収入80.9万円以下等 | 個人15,000円・世帯24,600円 |
| 生活保護受給者等 | 15,000円 |
出典: 厚生労働省 介護・高齢者福祉(令和3年8月改定後の高額介護サービス費上限額)。介護施設・事業所の検索はWAM NET 介護保険サービス情報や介護サービス情報公表システムでできます。
高額介護サービス費の申請は、初回は市区町村から通知が来ることが多いですが、申請しないと払い戻されません。初めてサービスを利用した月の翌月以降に、お住まいの市区町村介護保険担当窓口に申請しましょう。
要介護度別の費用比較(月額目安)
| 要介護度 | 在宅(1割・典型例) | 特養(多床室・1割) | 老健(多床室・1割) |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 約1〜2万円 | ― | ― |
| 要支援2 | 約2〜4万円 | ― | ― |
| 要介護1 | 約3〜6万円 | ― | 約8〜11万円 |
| 要介護2 | 約4〜8万円 | ― | 約9〜12万円 |
| 要介護3 | 約5〜12万円 | 約9.5万円 | 約10〜13万円 |
| 要介護4 | 約6〜15万円 | 約10.0万円 | 約11〜14万円 |
| 要介護5 | 約8〜18万円 | 約10.5万円 | 約12〜15万円 |
※在宅の金額は介護保険自己負担分+食費・日用品等の実費を含む目安。上限の差は世帯構成や利用サービスによる。 ※特養は第4段階(住民税課税世帯)の場合。補足給付が適用される世帯はさらに低くなります。
「在宅か施設か」で費用はいくら変わる?
要介護4・1割負担・住民税課税世帯を例に比較します。
在宅介護(週5日ヘルパー+週2回デイ+月4泊ショートステイ): 約6〜8万円/月 特養(多床室・第4段階): 約10万円/月 老健(多床室・1割): 約11〜14万円/月
この試算だけ見ると在宅の方が安く見えますが、在宅には「家族が介護に充てる時間・体力」という見えないコストが加わります。もし家族が仕事を辞めたり、副業を減らしたりすれば、その機会費用は月数万円〜数十万円になります。
費用だけで「在宅 vs 施設」を決めるのは難しい。 費用比較はあくまで判断材料の一つです。
どちらを選ぶ?判断フローと移行タイミング {#section-choice}
「在宅か施設か」は一度決めたら変えられないわけではありません。 状況が変わればサービスを追加し、限界になれば施設に移る、あるいは施設から在宅復帰を目指す、という流れを繰り返す方も多くいます。大切なのは、現時点の状況に合った選択をすることです。
在宅介護を続けるか施設を選ぶかの判断基準
次の4点を整理することで、おおむね方向が見えてきます。
① 本人の意向 本人が「自宅にいたい」という意向を持っている場合、可能な限り在宅を支える方向で検討します。ただし、認知症が進んで判断能力が下がっている場合は、安全を優先した選択が求められます。
② 家族の介護力 同居・近居で介護できる家族がいるか。夜間の対応ができるか。介護者自身の体力・健康状態はどうか。介護者が精神的・身体的に限界に近い場合、在宅継続は本人にとっても良い環境を維持できなくなります。
③ 医療依存度 胃ろう・気管切開・たんの吸引など、医療的ケアが常時必要な場合、在宅では訪問看護だけでは対応が難しくなるケースがあります。こうした場合は、医療体制が整った施設(介護医療院・老健)の検討が必要です。
④ 認知症の程度と行動・心理症状(BPSD) 軽度〜中程度の認知症であれば在宅継続は可能ですが、徘徊・暴力・夜間の不穏が繰り返される場合は、専門的な環境(グループホーム等)が本人にとっても安全な選択になります。
在宅介護の限界サインを見逃さない
次の項目をチェックしてみてください。5項目以上に当てはまる場合は施設の検討を始める時期、8項目以上なら早急な対応が必要です。
- 介護者が夜中に何度も起こされ、慢性的な睡眠不足になっている
- 介護者が体調を崩し、医療機関を受診した
- 介護者が仕事を休むことが増え、職場での評価に影響が出ている
- 本人が転倒を繰り返し、骨折のリスクが高まっている
- 認知症の徘徊・暴力・夜間の不穏が1ヶ月に複数回起きている
- 食事の準備・後片付けが介護者の大きな負担になっている
- 入浴介助に危険が伴うほど体格差がある、または体力的に限界を感じる
- 介護者が「もう限界」「死にたい」という気持ちになることがある
- 医師や看護師から「在宅継続は難しい」と言われた
- 本人が施設入所を受け入れる発言をしている
5項目以上の場合は、まず地域包括支援センターまたはケアマネジャーに「在宅介護の継続が難しくなっている」と相談してください。ショートステイを増やすなどの「在宅強化策」から始め、それでも改善しなければ施設移行を進めます。
在宅から施設への移行ステップ
施設への移行を決めた後は、早めに動くことが重要です。特に特養は待機期間が長いため、「まだ早いかも」と思う段階から申し込んでおくことが現実的な対策になります。
Step 1: 地域包括支援センターに相談(1日〜) 「施設を検討したい」と伝えれば、状況に合った施設の種類・地域の空き情報・費用の目安を案内してもらえます。ケアマネジャーがいない場合は、ここで紹介してもらえます。
Step 2: 要介護認定(未申請の場合、申請から30日以内) 施設入所には要介護認定が必要です。未申請の場合は市区町村の介護保険課に申請し、結果を待ちます(暫定ケアプランでサービス先行利用も可能)。
Step 3: 施設見学(2〜4週間) 最低3箇所を見学することを強くすすめます。見学では費用の内訳・スタッフの対応・施設の匂い(清潔さの目安)・レクリエーションの様子・緊急時の対応を確認してください。
Step 4: 申し込み(特養は複数施設に同時申込可) 特養は複数施設への同時申込に法令上の制限がなく、待機期間を短縮するため、希望に合う特養には全て申し込む方針が一般的です。
Step 5: 入所判定・待機(特養は数ヶ月〜数年) 特養は緊急度の高い方から優先されます。待機中はショートステイを活用しながら在宅を続けるか、一時的に老健に入所する選択肢があります。
よくある質問 {#section-faq}
Q1: 在宅介護と施設介護の最大の違いは何ですか?
A: 最大の違いは「生活の場」と「家族の介護負担」です。在宅介護は自宅で生活しながらサービスを使う形で、家族も介護の一翼を担います。施設介護は施設が24時間サポートするため、家族の日常的な介護負担はほぼなくなりますが、毎月の費用が発生します。本人の意向・家族の介護力・費用の3点を総合的に判断することが重要です。
Q2: 在宅介護から施設介護に変えるタイミングはいつですか?
A: 「在宅介護の限界サイン」(上記チェックリスト)が5項目以上当てはまる場合が目安です。特に介護者の体調悪化、夜間の不穏・徘徊の繰り返し、医師からの在宅困難の指摘があった場合は、早急に施設への移行を検討してください。特養は待機期間が長いため、「そろそろかも」と思ったら早めに申し込むことが現実的な対策です。
Q3: 費用は在宅と施設でどちらが安いですか?
A: 一概には言えません。要介護度が低い(要介護1〜2)場合は在宅の方が費用を抑えやすいですが、要介護4〜5になるとサービス費・実費・家族の機会費用を合算すると施設と大差がないケースも増えます。また、特養(多床室・住民税非課税世帯)は補足給付を使うと月5万円台になることもあり、在宅より安くなる場合もあります。詳細は「介護費用完全ガイド」も参照してください。
Q4: 施設介護を選んだら、在宅に戻ることはできますか?
A: できます。特に老健は在宅復帰を目的とした施設で、リハビリで状態が改善した後に自宅に戻るケースが一定数あります。特養でも、本人・家族が希望し、在宅で必要なサービスが整えば退所して在宅に戻ることは可能です。「施設に入ったら戻れない」は誤解です。
Q5: 在宅介護で家族が働きながら介護を続けることはできますか?
A: 可能です。訪問介護・通所介護・ショートステイをうまく組み合わせ、家族の仕事時間をカバーする設計にすることが重要です。また、介護休業(最大93日)・介護休暇(年5日)・時短勤務の制度も活用できます。詳しくは「介護離職を防ぐ 両立完全ガイド」をご覧ください。
Q6: 特養はどのくらい待ちますか?
A: 地域によって大きく差があります。都市部(東京・大阪・名古屋等)では100〜300人以上の待機者がいる施設が多く、数年待ちになることもあります。一方、地方では比較的短期間(数ヶ月〜1年)で入所できることもあります。特養への複数施設への同時申込には法令上の制限がないため、早めに申し込み、希望に合う施設に全て申し込むことが重要な対策です。
Q7: 認知症でも在宅介護を続けられますか?
A: 軽度〜中程度の認知症であれば在宅継続は十分に可能です。ただし、徘徊・暴力・夜間の不穏が繰り返される場合や、本人の安全が保てなくなった場合は、グループホームや認知症専門型の施設への移行を検討してください。認知症の介護については「認知症介護 はじめてのガイド」も参照してください。
Q8: 在宅介護の「区分支給限度額」を超えたらどうなりますか?
A: 限度額を超えた部分のサービス費は全額自己負担になります。ケアマネジャーが月の利用計画(ケアプラン)を作成する際に限度額内に収まるよう調整しますが、どうしても超える場合は超過分を全額支払った上でサービスを利用することも可能です。限度額を意識しながらサービスを選ぶことが費用管理の基本です。
Q9: 介護保険の自己負担が高くなったときの救済制度はありますか?
A: 「高額介護サービス費」があります。同一月の介護保険サービスの自己負担が上限額(一般所得者の場合、月44,400円)を超えた分が払い戻されます。また、医療費と合算できる「高額医療合算介護サービス費」もあります。申請は市区町村の介護保険窓口で行います。初回は通知が来るケースもありますが、自分から確認・申請することが確実です。
Q10: 地域包括支援センターとケアマネジャーの違いは何ですか?
A: 地域包括支援センターは市区町村が設置する相談窓口で、介護に関するあらゆる相談を無料で受け付けます。介護保険の申請手続きも代行します。ケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護認定を受けた後にケアプラン(サービス計画書)を作成する専門職で、居宅介護支援事業所に所属しています。まず地域包括支援センターに相談し、必要に応じてケアマネジャーを紹介してもらう、という流れが一般的です。
Q11: 施設入所の費用は医療費控除の対象になりますか?
A: 施設の種類によって異なります。特養(指定介護老人福祉施設・地域密着型特養)は、介護費・食費・居住費に係る自己負担額の2分の1が医療費控除の対象になります。老健・介護医療院は、同じく介護費・食費・居住費に係る自己負担額の全額が対象です。一方、有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)と認知症グループホームは医療費控除の対象外です(国税庁タックスアンサーNo.1125)。特養・老健・介護医療院では年末に施設から医療費控除対象額が記載された領収証が発行されますので、確定申告で活用してください。
Q12: 在宅介護か施設かで迷っています。誰に相談すればいいですか?
A: まずは地域包括支援センターに相談してください。無料で、在宅サービスの組み合わせ提案・施設の情報提供・ケアマネジャーの紹介を行っています。すでにケアマネジャーがついている場合は、ケアマネジャーに「在宅継続の限界を感じている」と正直に伝えることが第一歩です。気兼ねなく相談していただいて問題ありません。
まず今日やること {#section-action}
在宅か施設かの最終判断は、プロの意見を聞いてから決めることを強くすすめます。 今日のうちに動ける3つのアクションを紹介します。
アクション1: 地域包括支援センターの電話番号を調べる(5分)
「○○市 地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の介護保険課のHPから確認できます。電話番号をスマートフォンに保存しておいてください。「介護のことを相談したい」と伝えるだけでOKです。費用は無料です。
アクション2: 現在の状況を10分でメモする
次の項目を箇条書きでメモしておくと、相談時にスムーズです。
- 本人の年齢・主な病名・要介護度(認定済みの場合)
- 現在の生活状況(独居・同居・近居)
- 家族が介護に使える時間(1日あたり何時間程度)
- 直近1ヶ月で困っていること(夜間対応・入浴・外出等)
- 本人の「自宅にいたい」「施設に入ってもよい」という意向(わかる範囲で)
アクション3: 上記のリストを見て、限界サインが5項目以上あれば今週中に相談する
先ほどのチェックリストで5項目以上当てはまった場合は、今週中に地域包括支援センターかケアマネジャーに連絡することを強くすすめます。在宅介護の継続可否の判断は早ければ早いほど選択肢が広がります。
補足: 施設を検討していても、すぐに入所が必要な状況でなければ「施設の見学だけしてみる」という段階から始めることができます。見学は無料で、申し込む義務はありません。「まだ早いかも」と思いつつ見学した家族の多くが、「もっと早く行動すればよかった」と振り返っています。
**この記事は2026年6月時点の情報です。**介護保険制度の内容は定期的に改正されます(次回の大改正は2027年度を予定)。最新情報は厚生労働省の介護保険制度概要ページまたはお住まいの市区町村の介護保険課にご確認ください。
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